現在、世界では援助のあり方について見直しが進んでいます。2005年の「援助効果にかかるパリ宣言」の流れを受け、現在、日本の政府開発援助(ODA)、及び市民社会組織 (CSO) による国際協力活動のあり方が問われています。2008年9月には、援助効果向上第3回閣僚級会議がアクラ(ガーナ)開催され、世界各国の閣僚と国際機関が集まり、政治文書である「アクラ行動計画(Accra Agenda for Action: AAA : トリプルA)」が採択されました。そして2011年11月には、援助効果向上第4回閣僚級会議が釜山(韓国)で開催され、「効果的な開発協力のための釜山パートーナーシップ」が採択されました。
ODA援助効果向上プロセスと並行して、世界のCSOは「CSO開発効果オープンフォーラム」を通じて、CSOの開発効果について、CSO独自の国際的な枠組みのとりまとめを行ってきました。2010年9月にイスタンブール(トルコ)で開催された「CSO開発効果オープンフォーラム第1回世界大会」では、82カ国から170を超えるCSOの代表が議論を行い、全会一致でCSO開発効果についてのイスタンブール原則(PDF:84KB)を採択しました。さらに2011年6月にシェムリアップ(カンボジア)で開催された「CSO開発効果オープンフォーラム第2回世界大会」では、世界のCSOの合意文書として「シェムリアップコンセンサス CSO開発効果に関する国際枠組み(PDF:381KB)」がまとめられました。
このような流れを受け、JANICでは日本のODAの援助効果、及び日本の国際協力NGOの開発効果向上に向けた活動に取り組んでいます。日本のODAの質を高め、世界的な貧困削減と社会正義を実現させるために、CSOの役割は重要です。また国際協力CSOの開発効果向上の議論を活性化することによって、開発援助活動全体において質の高い実践を行うことが求められています。
援助効果の向上に関するJANICの取り組みは、こちらをご覧ください。
「援助効果にかかるパリ宣言(以下パリ宣言)」は、2005年3月に経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)の調整のもと、フランスで開催された「パリ援助効果向上閣僚級会議」にて採択されました。この会議には日本を含む91カ国の政府、国際機関、CSOが参加しました。会議の目的は、2003年に発表された「ローマ調和化宣言」の原則や理念を確認し、今後の援助効果向上の具体策(指標づくりなど)を取りまとめ、国際公約であるパリ宣言の実施策を合意することです。
パリ宣言は、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向けて、援助国と被援助国が一体となって援助効果を上げていくことを求めています。パリ宣言は、12の進捗計測指標が定められており、2010年の目標年に向けて、国ごとに計測され国際的にモニタリングが行われ、2011年にはパリ宣言モニタリング報告書が発行されました。
以下の5つが、パリ宣言の重要な要素として掲げられています。
被援助国である途上国が開発政策、戦略、調和のとれた開発行動を策定し、効果的なリーダーシップを発揮すること
ドナーは、全ての支援を被援助国の国家開発戦略、制度、手続きに沿って実施すること(具体的には、途上国のシステムを活用することや、援助のアンタイド化などを促進することなど)
ドナーの行動は、より調和化され、透明性があり、集合的に効果的になること(具体的には、援助実施の手続きをドナー間で調和化させることで、途上国の負担を軽減することなど)
開発の成果のために資源を管理し、意志決定を改善すること
ドナーと被援助国は、開発成果に関して相互に説明責任を有すること
以下に、パリ宣言の5つの重要な考え方についての概念図を示します。「1.オーナーシップ」、「2.アラインメント」、「3.調和化」は、パートナー国及びドナーが遵守すべき援助効果を高める具体的活動項目を示しています。そして、その三つを包含する基礎的な考え方として、「4.成果のマネジメント」と「5.相互の説明責任」が位置づけられます。
経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)による援助効果、パリ宣言に関する詳細情報は以下から参照できます。
http://www.oecd.org/document/32/0,3746,en_2649_3236398_46582624_1_1_1_1,00.html
(英文 新しいウィンドウで開きます)
外務省による援助効果、パリ宣言に関する詳細情報は以下から参照できます。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/doukou/dac.html (和文 新しいウィンドウで開きます)
援助効果について、詳しくはJANICの取り組みのページをご覧ください。